~連魚とは~
戦後のタンパク源として中国大陸から持ち込まれた。しかし、日本ではその風貌と淡水魚ということもあり、食用として馴染むことができなかった。大陸の大河を流下しながら孵化する性質上、日本では利根川でしか繁殖は認められていない。
連魚にはハクレンとコクレンの2種あるがそのほとんどがハクレンである。コクレンは正式な記録では日本で3回ほどしか確認されていない。
淡水大魚の中では圧倒的に数も多く狙いやすい。しかし表層で遊んでいることも多く、その食性もあり他魚狙いの仕掛けに掛かることも多々あり、仕掛けを破壊し場合によっては竿を折ることもあるため外道として歓迎されない可哀そうな魚でもある。しかし、専門的に狙うと非常に奥深く繊細でダイナミック。力強く重々しく抵抗し、暖気には目線ほどの高さまで跳ねあがることもある。
~習性~
プランクトン食であり、表層~中層を群れを作って回遊する。一般的にはハクレンが植物プランクトンを好み、コクレンが動物プランクトンを好むといわれているが動物プランクトンは植物プランクトンと混棲しているため食べ分けることは不可能ではないかと思う。こぶしが入るほどの巨大な口でプランクトンを水ごと吸い込み発達した鰓耙でこしとって食べる。
~タックル~
・ロッド
オススメは磯竿2~3号。シーバスロッドなどのルアーロッドでも対応できるが3m以上あると扱いやすい。柔らかい練り餌を振り込むため、なるべく柔らかい竿が有利となる。短い竿の場合は飛距離を出しにくかったり糸ふけで仕掛けが手前によってきてしまうデメリットがある。遠くに餌を打てた方がアタリは早いし多いので長さは武器になる。重量感はあるがパワーはそこまでないのでそこまでパワフルなタックルは必要ない。SAMEHADAでは延べ竿スタイルが浸透している。それぞれ12~18尺の振り出し竿を使用している。ポイントによって延べ竿で対応できない場合があるのでタックル選びは釣り場に合わせて行うべきである。
・リール
上記竿に合わせたもので大丈夫である。道糸ナイロン5号が150mほど巻けるもの。PEラインを使用するなら1.5号以上を150mほど巻けるものがよい。
・道糸
タックルに合わせたものでよい。魚が大きいため最低でも5号は欲しい。ナイロンの場合はハリスより2号ほど強いものにするとバランスが良い。PEの場合もハリス以下にはしない。
・浮き
大型のヘラ浮き推奨。意外と鯉浮きで良いものがある。浮力は練り餌を500円玉くらいに付けても沈没しない程度もの。磯釣り用などの自立浮きは感度も悪くアタリが取りにくいのでオススメしない。程度の良いものが見つからなければ自作しても良い。
・ハリス
ナイロンかフロロの4号くらいが良い。細ければ細いほどアタリも大きく出るのでタックルに合わせたものをチョイスすればよい。さほど神経質になる必要はない。
・針
丸型の物が良い。伊勢尼13~15号やチヌの8~10号など。手に入りにくいが「ダム専用 ヘラサイト20号」は強度も掛かりもよく、スレ針なので外すときも楽でオススメ。
・餌
ヘラブナ用の練り餌ならなんでもよいが、前提としてバラケるものが必須である。レンギョはバラケに寄ってくるため、グルテンなどのバラケない餌にはすこぶる反応が悪い。SAMEHADAでは稀にバラケとグルテンのセット釣りも行うことがあるがグルテンを使うときも上針にはバラケを付ける。オススメはマッシュポテト。水を吸ってかなり膨らむ為、コスパも良く軽いため浮きの浮力に対して大きく餌付けをすることができる。
延べ竿の場合は鯉用のものが良い
SAMEHADAではマッシュポテト単品を使用
トップの長さは約25cmだが出来れば後5cmくらい欲しい。
~釣季~
基本的に1年中狙えるが最盛期は5月~11月。水温が下がると深場に落ちて非常に食いが渋くなる。寒レンギョはへらの段底の釣りで狙うことは可能だが非常に繊細な釣りとなる。温排水が入って冬季でも水温が高ければ盛期と同じように狙うことが可能。むしろ冬は連魚も温排水に集まるので非常に釣りやすくなる。利根川水系では5月20日~7月19日は禁漁となるため注意が必要である。
~仕掛け~
基本的にはへらぶなの仕掛けをイメージしてもらえば良い。へらぶなの仕掛けと違うことは1本針であることである。ハリスの長さは長いほどアタリはハッキリと出る。最低でも30cmは欲しいが長すぎるとスレアタリも多くなる。浮きがよく動くときは20cmほどの短ハリスで、あまり動かないときは長ハリスにするとよい。
2本針を推奨する人やサイトもあるが、魚が寄るとどうしてもスレ掛かりを誘発してしまうので1本針のほうが扱いやすい。また、浮きの浮力の関係で2本針だと餌を小さく付けることになってしまう。
食いの悪いときは2本針にし、上針を5cm程度と短くし下針を30cm~40cm程度と段差をつけることでセットの釣りも可能。下針にはグルテンやオカメで良い。それでも渋いときには下針に発泡材をつけ針の重さを0になるように調整し、吸い込まれやすくするものが有効である。
オモリの調整は餌をつけたときに浮きのトップが3目盛り程出るくらいに調整する。餌が付いていないときのメモリを覚えておくことで餌が付いてるか落ちたかの判断ができる。
~釣り方~
釣り方はひたすら練り餌を打ち込む寄せて釣る釣り。最初のうちはあまり練り込まない餌でどんどん打ち込んでタナに連魚を寄せる。浮きが動くまでは20秒程度で餌を切って打ち返すイメージで良い。ある程度浮きが動くようになったら連魚が寄ってきているので少し練り込んで餌を持つように調整する。この辺の調整がしやすいのもマッシュポテトをオススメする理由である。
餌を何度も打ち返していくと次第に浮きがフワフワと上下するようになる。これはレンギョが仕掛けの近くを泳いだ時に起こる水流や、バラけた餌を下で吸い込んでいることによって起こる。
連魚が寄ってくると次第に浮きの動きが大きくなる。時には、浮きを完全に沈めるくらいサワリが出ることがある。この中でズンッ!と強く大きく浮きが沈むものがアタリである。アワせるところはこの大きく強く浮きが動いた時である。魚が寄ってくるとアタリまでは大きくないがスッと浮きが沈むことがある。これは仕掛けに連魚の身体が触れたことによるスレアタリであることが多いためアワセない。
慣れるまでは食いアタリとスレアタリの区別が難しいため強く大きく動いた時は基本的にアワセるつもりで良い。
浮きが大きく強く沈んだときにアワセを入れる。アワセは鋭く瞬間的に。大きくアワセる必要はない。
手首を返すくらいで良い。ヘラブナ釣りをやる人であればアワセは同じようでいい。
食いアタリとサワリの区別は本当に難しい。また、食いアタリを全て取れたとしても実際に掛かるのは1/3以下となる。
とにかく掛かる確率を上げるには食いアタリとサワリをしっかり見極めて食いアタリでアワセることが重要である。
見分け方はいくつかあるので順番に説明する。
1.浮きが動くスピード
2.浮きが大きく動くタイミング
3.浮きが大きく動く前の動き
1.浮き動くスピード
これは一番簡単な方法である。
サワリの時と比較して食いアタリのスピードは速い。かなり早いスピードで浮き3メモリ分以上大きく
動いたらそれはほぼ食いアタリである。間髪入れずアワセよう。
2.浮きが大きく動くタイミング
連魚の場合は食いアタリが出るタイミングがある程度決まっている。
・投入直後、浮きが馴染んで5秒以内
・馴染んでから2~3メモリ浮いてきた辺り
・餌が落ちる直前。かなり餌が小さくなってきて浮きで最後の1メモリ残るかどうかというタイミング
たいていこの3パターンの中のどこかで食いアタリが出ることが多い。
3.浮きが大きく動く前の動き
食いアタリが出る前に浮きは激しく動くことが多い。これは連魚が仕掛けのかなり近くまで近づいて
きているからである。その為浮きは食い上げや、ジワジワとゆっくり沈んでいくようなアタリが出る。
このようなアタリのあとに消し込むことが多いので集中して食いアタリを待つ。
~最後に~
連魚は時にヘラブナ釣りの外道やバスやシーバス狙いのルアーにスレ掛かりし、仕掛けを破壊し、ラインを切る。
その為、他の釣りでは歓迎されない外道でもありヘラブナ釣りの仕掛けに掛かった場合は陸に上げられ放置されることも多い。大陸から人間の勝手で移動され、今の環境になんとか適応して生きているが更に人間の勝手でそれを死に追いやる行為が誠に理解できない。これは連魚に限らずいわゆる外道と言われる魚すべてに言えることである。
私も釣り人であり、魚を騙し針に掛けて釣りあげている為、その行為を真っ向から否定することは偽善とも取られるしできない。しかしながらその行為は自ら釣り場を汚し自らの釣り人としての品格を下げていることに気付いてほしい。
そういった行為が釣り禁止を引き起こす可能性があることも理解してほしい。なにしろ釣り人がどんなに一生懸命に外道を殺しても相当大々的にやらない限り根絶することは不可能である。まさしく無意味な殺生である。
大陸からの訪問者は立派なゲームフィッシュであり、専門的に狙うと非常に面白い。
先入観からこの釣りを避けているのは非常にもったいないと思う。少しでも興味を持ってもらえたらぜひとも挑戦していただきたい。