~ベイシャークとは~
ベイシャークとは比較的小型のホシザメと1.7mほどまで成長するドチザメの2種を指す。どちらも港湾部のショアからの釣りで狙えるターゲットである。しかしながらホシザメは数も少なく狙って釣るのは難しい為、ベイシャークのターゲットとなるのはドチザメが多い。サメといえど比較的大人しくて率先して人を襲うことは無い。しかし歯は小さいながら鋭く、噛まれるとそれなりに痛い。海釣り公園や堤防からも十分に狙えるターゲットであり手軽に大物釣りを味わうには最高のターゲットである。
~習性~
底生性で普段は海底でじっとしているか、底から数十cmのところを回遊している。甲殻類や軟体動物を主食としており、アジやイワシなどの小魚も捕食する。イソメ類なども餌となるため度々小物釣りの仕掛けにヒットし驚かせることがある。単独か数匹の群れで行動していることが多い。捕食は視覚よりも嗅覚に頼る可能性が高く、匂いの強い餌や血の匂いに反応する。
~タックル~
タマン竿や石鯛竿を始めとしたぶっ込みロッド、磯竿5号以上、重り負荷30号程度の投げ竿やショアジグロッドでも良い。しなやかで強くて長めの竿が理想、サメの強烈なヘッドシェイクにも対応する。
リールは両軸、スピニングどちらでも良い、太い糸を使ってキャストするため、スピニングなら投げ用スピニングリール(必ずドラグ付きの物)、両軸ならアブの7000番クラスや石鯛リールがオススメ。
タックルは安価なものでもやり方次第で十分勝負になる。
~釣季~
基本的に1年中狙えるが、我々の集計上10月~12月がよく釣れる最盛期。
真夏の高水温期は食いが非常に悪い(エイは好釣)。2月の水温が一番低い時期も食いは渋い。この時期はホシザメのアタリも多い。周囲の静かな時にアタリが多く、夜釣りに分があるが昼間でも狙えないことは無い。
~仕掛け~
好みや使うタックルによって異なるが基本的に道糸ナイロン8~12号、道糸はナイロンの使用を推奨する。伸びがあるのでサメの急な突っ込みやヘッドシェイクを吸収してくれて流れにも強い。重りはタックルや潮の速さで使い分けるが基本的に30号前後、サメの口は硬いので魚が餌を咥えて走った時重りの重さで針を掛ける、いわゆる「向こう合わせ」にする為に40号を使う事もある。天秤は誘導天秤と固定天秤があり、食いの良いときは誘導天秤でも良いが、食いの渋いときは違和感を感じて吐き出すことが多い。固定天秤の場合は餌を咥えた時点で向こうアワセとなるためアタリがあればほとんど乗る。誘導天秤の場合はパイプ天秤や誘導L型天秤、固定天秤の場合は名古屋天秤やジェット天秤がオススメである。
ハリスはワイヤー#38×7前後または、フロロカーボン14~18号。歯が鋭く鮫肌でも擦れる為ハリスをこれ以上細くすると切られやすくなってしまう。ハリは特にこだわる必要は無いが丈夫で刺さりの良い物を選ぶ、ぶっ込みによく使われるムツ鈎等のネムリ鈎はあまり良くない。チヌ鈎等の丸鈎系の実績が高い。我々の愛用は「カン付き大鯉」や「カン付きチヌ10~12号」、入手困難なのでネットで買うと良い。
~餌~
基本的に何でも食うと言っても過言ではない。我々がよく使うのはスーパーの小アジ1匹鼻掛けやサバの切り身、遠投する場合はスルメイカの短冊、等々身餌が基本。自分流の餌を見つけるのも面白いかも知れない。
経験上ダントツで食いが良かったのは現地で釣った小魚を生きたまま背がけや目通しにして泳がせる。
”エラを切って即座にぶっ込む” こともある。サメは血の匂いで興奮状態になり活性や時合いに関係なく飛び付くと考えている。
餌に使う小魚は入手しやすく弱りにくい小メジナやウミタナゴが良い。
~釣り方~
普通のぶっ込み釣り同様、ポイントにキャストしたらひたすら待つスタイル。サビくのも悪くないが我々はあまりやらない、餌換えはカニ等のエサ取りの有無によってインターバルが変わってくるので最初はこまめに打ち返しをして様子を見る、餌が取られなければ2~3時間は放っておいても平気。その辺は鯉釣りをイメージして頂くと分かりやすいだろう。
新月の夜は大物が期待出来る。大潮の日は干潮、満潮の”前後1時間”に食いが立つ、この時合が非常にハッキリしていて1匹食ったら立て続けに食うことが多い。
当たりは前触れなく一気に走ることが多い、竿ごと持ってかれる危険性があるのでドラグはフリーにして竿尻ロープを結んでおくことをお勧めする。
竿を手に持ってすぐ合わせるのではなく糸を十分に巻いて竿に魚の重みが乗ったのを確認してからゆっくりしっかりと追いアワセをくれるイメージ。口が硬いのでアワセは必ずいれるように。あとは通常のやり取りと同じように寄せてくれば良い、根に走る魚ではないので抵抗する時は糸を出しながらゆっくりやり取りすれば手強い相手ではない。頭が少しでも向こうに向くと猛スピードで走り出す、この突っ込みとヘッドシェイクがなかなか強烈でサメ釣りの醍醐味でもあるので存分に味わってもらいたい。
ランディングネットは大きめのひょうたん型で折りたためない1本枠が壊れにくくて良い。細長いサメはとにかく入れずらいのでコツがいる、2人1組で竿を持つ人は下がってタモの人の指示で操作するのが良い。竿を持つ人が前に出ると必然的に竿が前に出てしまうのでタモに入れ辛い。サメの頭が少しでもタモに入ったらテンションを一気に緩める、そうするとサメの方から入ってくれるので後はタイミングを見計らってタモを上げれば御用。チームワークが大切な作業で取り込みはこの釣りで一番奥難しい所、慣れれば1人でも取り込める。ギャフは魚を傷付けるのでリリース前提の場合はお勧めしない。
※東京湾沿岸に接する都県では漁業調整規則法により原則ギャフの使用は禁じられている。
ドチザメの口にはかなり鋭い歯があるのでプライヤーで針を外し釣り上げた後もかなり暴れるので要注意。エイが釣れた場合、尻尾には強力な毒針があるので要注意、特に大物見物に来た”ギャラリーや子ども”には絶対に気を付けること。
万が一刺された時は火傷しない程度のお湯(50℃位)で患部を温めると症状が和らぐ、冷やすと逆効果なので注意。その後は即急に病院へ。
これは貝の仕業。餌替えを怠るとこうなる。
~最後に~
普段ターゲットにされることはまず無い魚だが、サメやエイは海外では立派なゲームフィッシュ。
その中でもベイシャークは港や堤防、都会の海にも多く生息していてお手軽に狙える大物、今後発展の可能性が十分にあるゲームフィッシュと言える。
この釣りが少しでも多くの人に知られ、1人でもやってみようと思う人が居れば幸いだ。