大河利根川、坂東太郎炸裂 ~前編~
8年前の5月GW、私は鰐川にて師匠とタニシ餌での鯉釣りをしていた。
そのころはまだ学生であり地元でこそある程度鯉は釣れるようになっていたが遠征ではほとんど結果が出ず悩みに悩んでいた時期であった。
その時は2泊3日の日程で竿を出していたがいつものようにアタリは全くなし。
最終日は完全にあきらめて朝の打替えすらせずに9時ごろに起床。
師匠だけが諦めず私の仕掛けにもタニシを撒いてくれていたようだ。
その時は突然やってきた。
10時過ぎ、BBQコンロを囲んで師匠たちと話していると自分の竿がわずかに揺れた気がした。
そして数秒後、突然竿が突き刺さりゆっくりだが確実にドラグが出ていく。
私は大慌てで竿まで走る。竿に着くころには恐ろしいほどのスピードでラインが引きずりだされていた。
竿を持つと半端じゃない重量感。そして突如沖に向かって突進してゆく。
私は突然のことに何もできず、気づいたら竿をなぎ倒され仕掛けだけが飛んで帰ってきた。
そして同時に見えた黒く巨大な尾鰭。完全に私の負けであった。そしてそれが私とアオウオの出会いであった。
初めての出会いから約8年間わたしはあの時のことが忘れられず北浦、鰐川へ年に数回通っていたが結果が出なかった。唯一2017年の秋にアオウオらしきアタリがあったが乗せることができなかったそれ以外では何も起こらなかった。
約1400時間やってみて、そして色々調べてみて私は利根川のほうが可能性があるように感じた。
そして2018年4月17日、私は利根川にいた。
利根川へは数回足を運び釣りができそうなポイントをいくつか見つけた。
その中でも担ぎ込みで入れてテント泊がしやすくポイントとしての条件が良いところを選んだ。
今回はポイントの下見がメインの実釣である。
写真には写っていないが竿はこの左にもう1本の計3本である
このポイントは岸から7mまで水深30cm程度でその先から一気に6mまで落ちている急斜面のポイントで、更にそのブレイクにテトラがせり出している。
深夜3時過ぎに到着しセッティングが終わったのは5時近くなっていた。
朝は鯉とレンギョのもじりが多く魚の活性は高かった。
投入地点はあえてブレイクの先5~7mで3本使って1mずつずらしタニシは多めに撒いた。
その後はせっせと草刈に勤しむ。
~Before~
~After~
週末の本番、仲間達のポイントを作るため4時間以上かけて草を刈った。
日が昇ると鯉やレンギョのもじりも無くなり水面は風波が揺らすのみと大人しくなった。
そして午前11時頃、突然仕掛けの真上の水面が爆発。見ると巨大なアオウオが尾ヒレをメラメラとはためかして沈んでいくところであった。
しばし呆然と立ち尽くし、また自分のポイント選びが間違ってなかったことに自信が出てきた。
その後も時には数分ごとに、数時間ごとに何度も仕掛けの上で舞い踊るアオウオにすっかり草刈も手につかなくなり竿の前でその時は今か今かと待ち続けた。
時折、穂先を静かに揺らしたりジッジッと数十cmほど糸を引き出したりする細かいアタリはあるのだがどうにも乗るようなアタリは来ない。
ドキドキしながらも気づくとアオウオの気配は消え、パラパラと雨が降ってきた。
その後は何も起こらず翌日。
朝から雨が降り外には居られない。
無理矢理テントから這い出して朝の打替えを行う。
雨音が強くテントの中からは状況がわからないが無情にも時間だけは過ぎていく。
あっという間に夕方になり週末の本番に向けて残りのタニシを多めに撒いて片付けに入った。
片付け始めると急に雨が上がり晴れ間が覗いた。
釣れないのが常。今回はこれで良かった。
見つけたポイントにもアオウオがいることがわかり、更にコマセについて実際に仕掛けに触れていた。それだけで十分すぎるほどの大きな収穫だった。
そしてまた仕掛けを入れていたところでもじったアオウオを見て私は帰路についた。